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ヴァリュキュリアは、人造コントロール・メタルを持ち出しクロノスを離脱した元・監察官である。 ヴァリュキュリアは、母が義理の父であるロバートと再婚したことでリスカー家の一族となった。義理の兄であるオズワルド(後のリスカー監察官:ガイバーⅡ)とは、兄と妹として良く接していた描写があり、そのあたりで差別を受けていた感じではなかった。しかし、あるとき心を許していたオズワルドによる言葉に傷つき、以後本家を越えるべく努力を重ね、ついにはクロノスのエリートたる監察官の地位を、オズワルド要した期間よりも早く手に入れることになる。さらに功績を重ねることで、オズワルドを完全に越えることをもくろんでいたが、ガイバーⅠとの戦いでオズワルドが死去することでその願いは叶わなくなった。 そこで、オズワルドを倒したガイバーⅠを倒すことで、オズワルドを越えたという目的へと変化し、結果的に人造メタルによるユニット装着に至る。 本来は、監察官の価値なり成果を決めるのはクロノスであるのだが、それに逆らってまで人造ユニットを強奪するのは目的を若干見失っている感は否めない。仮に、ガイバーⅠを殺傷せしめたとしても、秘中の秘とされるユニットの秘密を暴露したマイナス面が著しく、クロノスへの復帰は不可能と思われる。また、人造ユニット装着が死に繋がる可能性ついて、ヴァルキュリアがどれだけ知っていたかは不明であるが、装着時にそれなりに危険性を感じていたなら、目的を果たすために命を捨てる覚悟はすでにあるのかもしれない。 命を捨てる覚悟はあっても、彼女がガイバーⅠを倒すために手段を選ばないということではなく、人造ガイバーという力を利用する以外は、基本的には自力解決をもってあたっている。体力の少ないアプトムを利用しないことなどは、反目三人組よりは紳士的ではあるかもしれない。が、それでもギュオーと組み、瀬川兄弟を狙った経緯もあり、ある程度の権謀術数的要素も兼ね備えてはる。ただ、この場合にはギュオーの真の目的を知っていなかったことや、ガイバー一味が複数であるから自分も複数で当たったという弁護は多少成り立つかもしれない。 ヴァルキュリアが殖装した場合の戦闘力であるが、これまで確認されたところでは高度な戦闘技術を有しており、ヘッドビームの一撃で超獣化兵を倒してしまう程である。女性でありながら、肉体的鍛錬ならびに頭脳的な錬磨は相当なものであると見られ、巻島に匹敵するかはともかく、覚醒前の深町なら倒せた可能性は高い。 監察官という、未調整の人員をクロノス内で確保する理由は少し疑問に思ってしまうところである。彼らは選りすぐられたエリートであり、内部事情も相当深く知っている人間達である。彼らは、リスカー家のように名誉を与えられること服従を誓わせることは可能だろうが、野心的であれば裏切りが全く無いとも言いがたい。当然、裏切ればクロノスから相応の処分が下ることは十分承知しているはずで、飴と鞭を使い分けることで、クロノスへ反目することは通常ではありえないのだろう。 力を得ればヴァルキュリアのようにクロノスに対する敵対では無いにしても、命令に逆らう状況は常々孕んでいる。ギュオーにしても、相当の名家の出身か、裏社会を取り仕切るマフィアのドンかはわからないが、監察官のように選別されたエリートであったのかもしれない。もしかしたら、監察官というのは、万が一の欠員のためのゾアロード調製体予備生であるのかもしれないが、あれほどの戦闘力を誇る存在が死去することはほとんどないため、欠員による繰り上がりはあまり期待はできない。
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演習地の一角に止まった高機動車から降りたのは二宮だ。 「ご苦労」 「本当に、すぐ間近までお運びしますが?」 運転手を努める上等兵が不思議そうな顔で言った。 「いや。それには及ばない」 二宮は軍人らしい仏頂面で言った。 「実騎演習で舞い上がるヒヨコ共を背後から襲ってみたいだけだ」 「ああ……成る程?」 上等兵がいかめしい顔を歪ませて笑う。 「そういうことでしたか」 「そういうことだ」 人の悪い笑みを浮かべ、二宮は歩き出した。 林を抜けた二宮は、目の前の光景に軽い頭痛を覚えた。 「すっぉごい!」 「ね!?私の戦闘装備、似合ってる!?」 「うん!カッコいい!」 そんな黄色い声を張り上げるのは、二宮が指導を担当する候補生の面々だ。 遠目に見ながら、二宮は一人一人を確かめた。 泉美奈代(いずみ・みなよ) 分隊長。 冷徹で完璧主義的な性格。 非常に面倒見が良く、周囲への思いやりもある、分隊の中では母親的存在。 父は元メサイア乗り。 早瀬さつき(はやせ・さつき) 豪快な性格の持ち主で負けず嫌い。分隊内の実行隊長的存在。 柏美晴(かしわ・みはる) 冷静で割り切っていながら、人なつっこい性格の持ち主。 宗像理沙(むなかた・りさ) 部隊内で最も視野が広く、的確な判断が下せる、分隊の知恵袋的存在。 神城一葉(かみしろ・かずは) 神城双葉(かみしろ・ふたば) 神城光葉(かみしろ・みつは) 三姉妹。 分隊内では宗像と肩を並べるお祭り騒ぎの元凶とされる。 都築真(つづき・しん) 分隊では貴重なオトコ。 山崎大輔(やまざき・だいすけ) 身長2メートル近い大男。 外見だけなら最も騎士らしいが、適正では操縦者と管理者(コントローラー)双方で高い適正値を持っているため、どちらに配属するか、実は未だにはっきりしていない。 巨体に似合わず、心根は優しく思いやりにあふれる性格のため、分隊の女性達からは意外な人気を集めているという。 別名「フラちゃん」 そして…… 二宮はじっと目を凝らした。 そこに映るのは、ただぼんやりとメサイアを見つめる少女。 風間祷子(かざま・とうこ) 採用されれば、近衛史上でもトップクラスに入る適正値の持ち主。 だが――― 二宮はそこにひっかかる。 適正は確かに高い。 パラッ 二宮は手にしたファイルを開く。 開かれたのは彼女に関するデータ。 その最後に、こう書かれていた。 『実騎訓練に際しては、当該候補生のみ、開発局が指示する騎を常に使用すること。なお、その訓練の過程における、人的・物的損害は全て不問とする』 「……」 二宮は訓練生のために用意されたメサイアを見上げた。 雛鎧(すうがい) 征龍を訓練生向けに改装したトレーナー騎。 普通より大きくとられたコクピット部とメサイアコントローラールームは、それぞれ副座式である証拠。 つまり、普通のメサイアは2人乗りなのに対して、この騎は4人乗りだ。 不慣れな訓練生がどんなバカをやらかしても破損しないよう、軟式追加装甲を取り付けられたその姿は、お世辞にもカッコイイとは言い難い。 かつて世界に鳴り響いた栄光あるかつての愛騎、征龍のなれの果てと思うと、二宮は何だか泣きたくすらなった。 「整列!」 泉の号令に我に返った二宮は、緊張した面もちで自分に敬礼する生徒達に、バツの悪い思いで答礼した。 「ご苦労」 二宮は近づきながらもう一度だけ、全員の顔を見た。 二宮の任務。 それは、生徒達の実騎演習の総指揮を執ること。 何度も経験しただけに、その手際は見事なものだ。 「訓練騎はそれぞれ1騎ずつ割り当てられ、コントロールには教官が一人、実戦部隊から回してもらったコントローラーがつく」 騎体のそばに待機している一団を指さすと、生徒達がそちらに向き直り、 「敬礼っ!」 一糸乱れぬ敬礼をする。 訓練開始から半年近く。 よく育っている。 二宮はそう思ってわずかに口元を緩めた。 「搭乗する騎は、泉、1号機―――」 手元の資料をよどみなく読み上げる。 「風間10号機」 「教官!」 そう言ったのは早瀬だ。 「なぜ、祷子……じゃない、風間候補生の騎だけ違うんですか?」 全員の視線が10号機に集まる。 そう。 確かにおかしいと思われて当然だと、二宮も思う。 10号機だけ、なぜか完全な単座騎だ。 その内部については、二宮も知らない。 ただ、生徒達の疑問に答えるという、教官の義務として、こう答えた。 「訓練騎はそう多くない。ベースとなる征龍は、いまだ一線で活躍中の騎であることを忘れるな」 騎体不足。 それで生徒達が納得したかはわからない。 恐らく、ないだろう。 「教官が同乗できないのは、風間候補生にとっては大変な負担だろうと思う。だが、シミュレーターの結果で判断する限り、貴様等の多くは、単座での演習参加は不可能ではないと判断されている」 「風間候補生に対する厚遇、そういうことですか?」 泉は冷たくそう訊ねる。 「そうですよ」 早瀬も食って掛かってきた。 「何か、祷子ばっかり大変じゃないですか」 「教官、真意はどのように?」 「近衛もまた、軍隊だ」 泉に対して、二宮は言った。 「そして貴様等は軍人のタマゴである。命令に従えばいい。戦場では、末端の兵士達の疑問に一々答えてくれる者なぞいない」 「……」 「……」 「搭乗は30分後、それまでに用を足しておけ。いいか?コクピットで漏らすんじゃないぞ?」 関係者との短い打ち合わせの後、二宮は生徒達の様子を見た。 泉はマニュアルを熱心に読み直している。 手にするマニュアルのボロボロぶりから、普段からかなり読み込んでいるのは間違いない。 他の連中は一塊りになって緊張をほぐすおまじないに熱中している。 オトコ達はそんな女達から離れ、熱心にメサイアの回りを行ったり来たりしている。 そして――― 「ん?」 二宮の目に止まったのは、祷子だ。 跪く格好で待機中のメサイア10号騎の前で、祷子はじっとメサイアを見つめていた。 いや、メサイアに微笑んでいた。 メサイアから聞こえるメカニカルノイズに一々答えているように頷いてすらいる。 「?」 巨人と会話する妖精のようにすら映る祷子に近づいた二宮が訊ねる。 「候補生。何をしている?」 「あっ、は、はい」 慌てて敬礼する祷子に、二宮は言った。 「敬礼しろといったのではない。何をしている?と聞いたんだ」 「あ、この子とお話を」 「この子?」 「はい。この子……10号騎です」 メサイアコントローラーや騎士の中には、メサイアを子供や娘、あるいは息子として位置づけ、「この子」と呼ぶ者が結構な数、存在するのは事実だ。 二宮もその中の一人。 見習いじみた格好付けのウソではないことは、祷子の眼を見れば二宮にはすぐわかった。 だから、訊ねた。 「何と言っていた?」 「はい。名前は“弥生(やよい)”ちゃん。お母さんが水城恵美子(みずしろ・えみこ)中尉だと」 「……」 二宮はポカンとした顔でもう一度、相手を見た。 空想癖でもあるのか? 本気でそう思ったからだ。 人間がメサイアと会話出来るはずがない。 出来るとしたら、それはメサイアコントローラーだけだ。 この子にその素質があるとは聞いていない。 「あの?」 祷子が不思議そうな顔を向けてきた。 我に返った二宮は、慌てて話を合わせるように、 「そうか。訓練で苦楽を共にするパートナーだ。仲良くしておけ」 そう言って踵を返す。 「はいっ」 明るい祷子の声は、背中で受けた。 わからない。 二宮は首を傾げながらCP(コマンド・ポスト)に入った。 何かがおかしい。 二宮はもう一度、資料を読み返した。 そして、見つけた。 「開発局の要請により採用?」 縁故採用はありえない。 あくまで実際の能力がモノを言うのが騎士の世界だ。 しかも、近衛関係者に知人がいる場合、関係者としてこの書類に載っているはず。 それが、一人として存在していない。 縁故の線は、ない。 「つまり―――」 開発局、何を? まとまらない考えを抱える二宮に、 「中佐」 背後から声をかけたのは、整備隊長だ。 「起動準備完了。メサイアコントローラー、配置に付きました」 「ご苦労―――あ、待て」 「はい?」 「整備隊長、10号騎については、何か知っているか?」 「?ああ。あの、開発局から回ってきた?」 「開発局から?」 「ええ。新型のテストベッドに使われた素体ですよ。何でも、空いたからって、訓練用に回してくれたとか。それが?」 「いや、いい。で?10号機の精霊体の名前は?」 「えっ?そういや、なんだったっけ?」 整備隊長は書類を引っかき回した。 「ああ。さっきのメールにあったな……」 「我々にも報告がないが?」 「そうなんですか?俺は整備上、必要かと思って、開発局の仲間に頼んで教えてもらったんですよ……これだ。えっと?」 二宮はその名を聞いた途端、凍り付いた。 何も知らないはずの風間候補生が語った名。 まさにその名が、整備隊長から聞こえたから。 「“弥生(やよい)”ちゃんですね。メインコントローラーとして登録されているのが、水城恵美子(みずしろ・えみこ)中尉。―――でも、この騎って、何の開発に使われたんだ?」 フィーッ フィーッ 「搭乗開始、5分前!各員備え!」 サイレンと共に周辺に響き渡るオペレーターの張りのある声。 それがなかったら何時間、凍り付いていたか、二宮にも答えはわからない。 10号機 風間祷子 すべては、これから知ることになるだろう。 そう思いつつ、二宮は訓練開始に備え、指揮を開始した。 一方、候補生達が危なっかしくコクピットに入る様子を、長野は複雑な顔で見ていた。 (最初なんだから、ベーススタンド位用意してやればいいものを) 「下見るなぁ……下を見るなぁ」 その長野の視線の先で、柏美晴は、半泣きになりながらメサイアの各部に取り付けられた足場を使って騎体によじ登っていた。 高校卒業したての18歳。 メガネをかけた、何の変哲もないオンナノコだと、自分ではそう思っている。 ただ、まだ花も恥じらう乙女にとって、コクピットまでの道のりは、それなりの驚異だった。 飛び跳ねれば一発だと体ではわかっている。 だが、高いところが苦手な美晴にとって、この飛び跳ねるというのがどうしても出来ない。 跳躍の訓練の時、いつも敵に会う前に悲鳴を上げるのは、美晴だ。 「ううっ……怖いよぉ」 何とか胸部までたどり着いた時には、隣の騎はエンジン音を変えていた。 なるべく最後まで下を見ずにコクピットに転がり込むことに成功した美晴は、隣の騎が何号騎だったかを思い出した。 1号機、泉騎だった。 「1号機、起動シークエンス開始……各部バランサーチェック……完了」 美奈代はコクピットで手際よく起動手順をこなす。 右翼騎士である厳格な父に育てられた、これまた厳格な子。 高校時代は風紀委員会で活躍していたというのが肯けるし、この経験から分隊長を任されている。 コクピットの各部にパワーが入り、モニターに外の風景が映し出された。 『MCより泉候補生』 コントローラールームから通信が入る。 「泉候補生」 『全天周囲モニターは切って下さい。使用は禁止されています』 「泉候補生了解」 泉は手元のパネルを操作してモニターを360度全周囲のそれから前面に限定されたものへと切り替える。 騎士の見るモニターはこの場合、全部で21枚。 メサイアの眼で見た光景が合成されて映し出される。 下手に足下が見えないだけ、美奈代はこちらのモードの方が好きだった。 視界の先に、美晴騎が映る。 彼女が全天周囲モニターに切り替えれば、気絶してるかもしれない。 「切り替え完了……」 そんな意地の悪いことを考えながら、次の手順に入ろうとして、泉は手を止めた。 モニターの一角に映し出されるのは、風間騎。 「……」 白を基調として、各所に黄色を配した色彩は、自分の騎と同じ。 ただ――― (なんで祷子だけ) そう思わずにはいられない。 こっちは複座。 むこうは単座。 単座の搭乗は、訓練過程でも後半だ。 まだ、中盤に入ったばかりだ。 しかも――― 「こら泉!」 後部座席に座った教官の怒鳴り声と一緒に、後頭部を激しくド突かれた。 ヘッドコントローラーの中に仕込まれたバーが後頭部めがけて飛び出してきたからだ。 「痛いっ!」 思わず悲鳴を上げる。 「さっさとやらんかぁ!」 「はっ、はい!」 泉は起動手順を慌てて再開しつつ教官に訊ねた。 「教官、分隊長としてお聞きします」 「む」 「風間候補生は―――大丈夫、なんでしょうか?その、単座で」 「コケても死にはしない……分隊全員でメシ抜き程度だが?」 「思いっきり、イヤなんですけど」 「お前がそう思うのも無理はないがなぁ」 島教官も祷子の悪評は聞いてはいた。 「あの子だろう?シミュレーションで万年ドンケツは」 「はい……脚部バランサー正常作動確認……1号機、起します」 グンッと来る不自然なまでの感覚が泉を包む。 「えっ?」 「引き上げすぎだ!バカモンっ!」 目の前のモニターに操縦権限が剥奪されたことを告げる表示が出、そして後頭部に激痛を感じた。 「す、すみませんっ!」 「ボンクラちゃんを笑っている場合じゃないぞ!」 教官に一喝され、泉は涙目で謝った。 「も、申し訳ありませんっ!」 「シミュレーターでボンクラちゃんは全戦全敗記録の持ち主だが、お前等候補生が知らないことが一つある―――シミュレーターで一番早くメサイアを立ち上げたのは、間違いなくアイツだ」 「えっ!?」 レコードは私のはず。 あの子は騎体エラーを引き起こして教官から大目玉食らっていたはずだ。 「あまりに早すぎる……初講習の時で熟練騎士以上の手早さで、だ。教官である俺達からすれば、シミュレーター側で、何かエラーが起きたと判断した位な」 「初耳です」 「当然だ。とにかく、いろいろ試した結果、俺達教官が出した結論はこうだ。 あの子とシミュレーターは相性が悪すぎる。 まぁ、結果としてお前達からボンクラちゃんなんてありがたくもない愛称を頂戴したのまではどうしようもなかったけどな」 「相性?」 「ニックネームのことさ」 「いえ、シミュレーターとの相性」 「ああ。知っているだろう? 騎と騎士には相性があるって。 ボンクラちゃんはより強くでるタイプみたいだな。 あろうことか、ボンクラちゃんはそれがシミュレーターで出た。 いや、相性が悪いのは、シミュレーターそのものではなく、この雛鎧であり、征龍だったことは確かだ。 そう判断するきっかけがこうだ。 シミュレーターとの相性問題は、ボンクラちゃんも気にしていたらしくてな。 あの子、休日指定日にシミュレーター動かさせてくれって、二宮さんに頼み込んだ。 整備連中、しかたねぇ。空いてるのはこいつだけだって、上級特殊訓練用シミュレーターに乗せてみたら、これがあっさり動かしたあげくが、レコード更新総なめだ。 あれはどこの上級騎士だって、みんなが驚いていたぜ?」 「まさか!」 「そのまさかさ。征龍の性能では、ボンクラちゃんの操作にはついていけない。 それがボンクラちゃんのシミュレーター上の成績不良を引き起こしていた。 分析結果として導き出されたのがそういう答え。 ―――俺は、そういうの、天才っていうんだと思うぜ?」 「……」 「ただ、天才ってのにも二通りある。泉が努力による天才なら、ボンクラちゃんは生まれつきってタイプだな」 「……」 「まぁ、お前のようなタイプの方が実績は残せる。生き残れるのは、運次第だが」 「それが、あの子が単座に乗せてもらっている根拠なんですか?」 「違う」 「どう?」 「あれは、乗っているんじゃない。乗せられているんだ」 「えっ?」 「詳しいことは知らん。ただ、あの子が望んであれに乗っているわけではないことは知っている」 「詳しく教えて下さい」 「出来るはずないだろう?」 島は言った。 「ここは軍隊だぜ?」 モニターを見つめながら、泉は唇をかみしめた。 「私だって―――っ!!」 さて。肝心の祷子だが……。 「うっわーっ!」 コクピットで感嘆の声を上げていた。 「わ、わ!シミュレーターとは全然違う!こ、これ、触っていいのかな」 祷子は感動と興奮に震える手で、恐る恐るコントローラーユニットに手を乗せた。 ふうっ。 全身がリラックスする。 不思議な安心感が祷子を包み込む。 「はぁっ……」 メサイアと一体になったようなこの感覚を表現する言葉を、祷子は思いつかない。 『風間候補生』 「は、はい!風間!」 祷子は、慌ててシートから起きあがってHUDに頭をぶつけた。 『起動開始して下さい。他の方はすべて終了しています』 「いたたっ……えっ?」 パッ。 無意識につけたモニターの向こうでは、神城三姉妹が同時に騎体を立ち上げるという離れ業を演じてのけていた。 「あら。さすがね。あの子達」 『風間候補生っ!』 耳がきーんっとするほどの大声がスピーカーから届く。 『何をしている!さっさと立ち上げんか!』 二宮からの罵声に近い命令だ。 「はっ、はい!風間候補生、10号機、起動開始します」 祷子は、目にも止まらぬ早業でコンソールを操作し、 「システム・オールグリーン、10号機、起こします」 『ち、ちょっと待ってください!』 MCからの止めが入ったのは、少し遅かった。 『コクピットの仕様が違うんです!説明を―――きゃああっ!?』 グンッと来る感覚を経て、10号機は立ち上がった。 仕様が違う。 つまり、全く特性が違うことを意味する。 全く慣れない騎体を動かすのは至難の業。 だからこそ、シミュレーターがある。 それなのに、10号機は、あっさりと、全く無駄のない動きで立ち上がった。 周囲で見ていた者達からも感嘆の声があがった。 「10号機起動完了。MCの……えっと?」 『水城中尉です』 「中尉、仕様、教えて下さい」 『もう、教えることないです』 「そうなんですか?。それでは、今日はよろしくお願いします」 『は、はい……もう止めたいんですけど』 「えっ?」 『なんでもありません。候補生、こちらの指示に従って行動して下さいね?』 「はい……あっ、それと」 水城は祷子の言葉に絶句した。 『弥生ちゃんにも伝えて下さい。一緒に頑張ろうって』 グゥオオオッ 一瞬、エンジンのトルクが高まった。 祷子がエンジンのスロットルを開いたのかもしれないし、そうではないのかもしれない。 ただ、水城はMCとして、その音がまるで祷子の言葉を喜んでいるように聞こえて鳴らなかったのは、事実だ。 「よし……これで全騎立ち上がったな」 二宮は無線機のレシーバーを掴んだ。 「各騎、これより作戦内容を伝える」
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Top GvG情報局 GvGの基本 プロンテラ プロンテラ砦MAP まず黄色く囲っている数字が砦番号となります。V1、V2、V3、V4、V5 赤く囲っているのがギルドフラッグと呼ばれ、落とした砦に素早く戻るための物です。 以前まではGv以外の時間でも砦に入れたのですが、現在は仕様変更の為MAP情報が取得できないので、情報サイトから引っ張ってきました。 左から順にV1~V5のエンペルームまでのルートになります。
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皇室近衛騎士団のメサイア及び大型飛行艦は、他国のそれとは大きく異なる。 魔晶石を動力とする、Lクラスに分類されるエンジンが精霊を産み出すことはこの世界では常識。 そして、精霊の自我は、メサイア・コントローラーの命じる内容を理解出来、かつ、メサイアの全てを管理出来る、一種のコンピューターとして機能するに留められるのが普通だ。 当然、自我はないに等しい。 兵器として、いや、道具として当たり前のことなのだが――― それを真っ向から否定してのける国がある。 それが、大日本帝国。 つまり、皇室近衛騎士団だ。 少なくとも、美奈代は、そう、教えられていた。 「……」 スピーカーからの二宮の指示が響く雛鎧(すうがい)のコクピットで、美奈代は顔を引きつらせていた。 どうして? 何故? スピーカー越しの教官からの指示が、耳に入らない。 耳にはいるのは、自分の心からの問いかけだけ。 何故? それだけだ。 「……」 「……」 興味深そうに自分を見つめてくる二つの瞳。 それを前にして、他に湧いてくる言葉なんて、ない。 小さな女の子が、操縦者を守る最終装甲を兼ねたモニターカウルにちょこんと座って、自分を見つめているのだから、無理もない。 「ね、ねぇ」 美奈代はようやくのことで女の子に語りかけた。 年の頃は4歳くらい。 大きな目とやわらかそうなほっぺた。 幼稚園児の着るような白いスモック。 「?」 小首を傾げる愛らしい仕草。 どう見ても、メサイアという兵器の中にいるべき存在じゃない。 大体――― 「あなた……どこから入ってきたの?」 閉鎖された狭いコクピット内に、例え子供といえど、潜んでいられる場所なんてない。 違う。 美奈代の目には、少女が突然、目の前に現れたように見えた。 「?」 少女は、意味がわからないらしく、また小首を傾げた。 「泉候補生」 島教官が言った。 「あいさつ位しておけ」 「あ、あの―――」 「ああ……貴様等は、まだ精霊体に会ったことがなかったな」 「精霊体?これが、そうなんですか?」 「これじゃないもんっ!」 女の子は、頬を膨らませて言った。 「私は“さくら”だよ!?」 びっくりして声を失った美奈代に、教官がフォローするように言った。 「近衛が、メサイアや飛行艦に疑似人格を持たせているのは習ったな?」 「は、はい」 美奈代はテキスト通りに答えた。 「魔晶石エンジンは、命令を兵器に伝達させるだけだと、精霊体の本来持つ力が存分に発揮されることはない。疑似人格を与えることで眠っているパワーを引き出す事が出来る」 「50点だ」 教官の評価は厳しい。 「共に戦うパートナーとして疑似人格を位置づけ、自発的な協力を受けることで、人類には引き出すことが出来ない、魔晶石の眠れる力を引き出させるのが、最大の狙いだ」 ―――それを言う前に点数つけないでよ。 と、美奈代は内心でそう毒づいた。 「さて―――」 教官は言った。 「“さくら”?状況は?」 「はぁい!」 少女は手を挙げて、自信満々に答えた。 「ママに聞いてください!」 「―――殴るぞ?」 作戦命令。 それを完全に聞き逃した美奈代は、周囲に合わせる形でメサイアを動かすハメになった。 どんな命令が下されているのか、まるでわからない。 「命令はすでに伝達された」 恐る恐る訊ねた教官からは、後頭部へのバーの直撃と、そんな返事しかもらえなかった。 「さくら……ちゃん?」 「“さくら”、黙っていろ」 教官からそうクギを刺された精霊体―――“さくら”は、救難信号を送る美奈代を、気の毒そうな顔で見るだけだ。 「牧野少尉……どうした?」 先程から、何の報告もしてこないMC(メサイア・コントローラー)に教官は問いかけた。 普通ならそろそろ、何か情報があってもいい頃だ。 「島教官、騎体バランスに気をつけてください」 「バランス?―――こっちでは何も感知していない。動作も問題ない」 「騎体総重量が予定と異なっているんです」 「何?何か積んだか?―――どれくらいだ?」 「予定重量より、4tも」 牧野の言葉を遮るように、“さくら”は顔を真っ赤にして怒鳴った。 「わたし、そんなに太ってない!」 「4トンって、太る太らないの問題じゃないと思う……」 という美奈代の呟きは正しい。 「あのなぁ。“さくら”」 教官は、怒る“さくら”をなんとかなだめようとして失敗した。 ばかぁっ! チビっ! 飲んべえ! 貧乳! ……。 コクピット内では、唖然とする美奈代を後目に、教官と女の子の怒鳴り合いが続く。 それは親子喧嘩というより、子供同士のケンカだ。 「あの……私、どうすればいいんですか?」 「命令通りに動けばいい!おい、このチンチクリン!」 「鏡見れば!?」 「いい加減にしなさいっ!」 コクピットを制圧したのは、MCLにいる牧野少尉の一喝だ。 「何をやってるんですか!」で、始まった説教が二人の動きを封じるコクピット。 美奈代は外に助けを求めるように、モニターの外を見た。 他の騎はすでに移動を開始している。 肩のナンバーから、斜め前方を移動中なのが宗像騎だと知った美奈代は、そっと宗像騎との通話を試みた。 『ん?どうした?』 通信はクリア。HUDの片隅に、宗像の顔が映し出される。 美奈代はこっそりと言った。 「宗像、すまんが」 『どうした?何の騒ぎだ?』 「後ろのノイズは無視してくれ。どんな命令を受けている?」 『ああ……』 モニターの宗像が動き、美奈代の前に作戦図が展開される。 『そっちの家庭事情はこっちから外部操作で開かせてもらったが……右端の戦況確認ボタン一つでわかることだぞ?』 いわれればそうだ。 基本的なミスに気づいた美奈代は、赤面しつつボタンを押した。 「スマン……このまま前進、前方に潜む敵を撃破。なお、戦闘はすべて教官が行う?」 『そうだ。いわば、教官同士の模擬戦に参加して、対メサイア戦がどういうものか、肌身で感じろということだな』 「成る程?」 しかし、そこで美奈代はひっかかった。 「風間はどうなる!」 そう。 風間の乗るメサイアは単座騎。 教官なんて乗っていない。 戦闘に巻き込まれれば最悪――― 『……私も心配だ』 宗像は真顔で頷いた。 『私のスイートハートが教官になぶり者にされるようなことがあれば……そう考えただけで―――』 「考えただけで?」 『濡れてくる』 背筋が寒くなる美奈代の前で、モニターの宗像は身をよじらせた。 『ああ―――たまらん』 「……もう少し、普通に考えていいぞ?」 『私はめい一杯、普通だ。―――それと』 宗像は言った。 『各地に仕掛けられた弱レベルのMLの他にも飛んでくるから、気をつけろ。直撃一回で12時間のメシ抜きだ』 「飛んでくる?」 『―――砲弾だ』 「実弾か!?」 『前哨戦ってことだな。メサイアの装甲の前には無意味だが、我々を嬲るつもりだろうさ』 「宗像―――楽しそうだな」 『ん?』 「危険を楽しんでいるようにも見える」 宗像は、心底楽しそうに答えた。 『そうだ。―――危険とは、怯えるためのものじゃない。楽しむためものだ』 美奈代達が移動を開始して5分後。 そろそろ、演習地は森から平原へと景色を変えようとしていた。 ピーッ コクピットに警告音が鳴ったのはその時だった。 「!?」 「何の音だ?」 教官の質問に、美奈代は答えた。 「実体弾の飛来警告です!砲はFH99!弾種ロケット弾!」 後頭部に見えない手を展開しつつ、美奈代は答えた。 「有効範囲は?」 「約80キロ!」 「どうする?」 「移動、もしくは―――っ!!」 ドドンッ! 爆発音が雛鎧を揺るがしたのは、まさにその時だった。 ガンッ! 美奈代は後頭部の痛みに気を失いそうになった。 「このバカもんっ!」 教官が怒鳴る。 「いちいち答えてるヒマがあるなら、さっさと動かんかっ!」 「も、申し訳……」 こぼれる涙を堪えながら、美奈代は騎体の状況を確かめた。 雛鎧は、とっさに片膝をついてバランスをとりつつ、シールドで頭部をガードする姿勢。 教官が自分から瞬時にコントロールを奪い、とった姿勢であることは、美奈代にはわかる。 「砲撃の後、どうするっ!」 「戦闘態勢に」 雛鎧を立ち上げようとして、美奈代は騎体が動かないことに気づいた。 「―――えっ!?」 コントロールユニットを操作するが、騎が全く動こうとしない。 「“さくら”!どうして立ち上がらないの!?」 思わず怒鳴る美奈代に、“さくら”は半分、泣き顔で言った。 「腰が抜けましたぁ……」 「このバカっ!」 「バカもんっ!」 ガンッ! 美奈代の後頭部を再びレバーがどついた。 「“さくら”!こんなことは山ほど経験してるはずだ!」 ガンッ! ガンッ! ガンッ! 教官が怒鳴るたびに、美奈代の後頭部に激痛が走る。 「いい加減にしてくださいっ!」 美奈代はたまらずに怒鳴った。 「ここは自分ではなく、“さくら”を叱ってください!」 「叱ってるだろうが!」 「レバーを押さないで下さいっ!」 「クセだ、気にするな!」 ガンッ! 「ううっ……」 「泉候補生」 「グスッ……はい?」 「12時間、メシ抜き確定だ」 「そんなぁ!」 軍隊の数少ない楽しみ。 それは、メシと睡眠。 冗談抜きでそういうものなのだ。 それを取り上げられた美奈代は泣き顔で叫んだ。 「あんまりですっ!」 「あーあ。俺達はこの後、行きつけのおでんやで打ち上げだぁ」 教官は晴れ晴れした声だ。 「屋台のおでんって、おいしいんですか?」 さくらは興味津々で訊ねた。 「ああ。あれで一杯は最高だな」 「私も食べたいですぅ」 「ど、どうやって?」 「―――はぅぅぅぅっ」 『泉』 モニターに宗像が映る。 『状況、わかってるな?』 「状況?」 『泉』 タダでさえ低い宗像の声のトーンが落ちた。 『後でシメるぞ』 「すまんっ!」 美奈代は戦況モニターを開いた。 周辺の地形図と自分達の現在位置が映し出される。 10騎全騎が、今は無事。 そして――― 「丘陵の向こうに3騎」 『それだけじゃない』 それは、初めて聞く宗像の声。 宗像は緊張していた。 『教官達が状況を変えた』 「状況を?」 戦況モニターの上。 そこに映し出された最新情報にようやく気づいた美奈代は、我が目を疑った。 「被弾により―――教官全員戦死!?」 思わず振り返った美奈代は、後ろで知らん顔を決め込んでいる教官の顔を見た。 「い―――」 生きている! そう叫びそうになった。 それはあくまで仮定の話。 現実ではない。 それはそれでわかるのだ。 「パパ―――死んじゃったの?」 “さくら”が心底嬉しそうな顔で美奈代に尋ねた。 「い、一応、そういうことになっている」 「やったぁ!」 ガンッ! 美奈代は、バーの一撃をモロに喰らった。 「な―――」 美奈代はその痛みを忘れたように怒鳴った。 「何考えてるんだ!ウチの教官共は!」 ガンッ! 「―――“さくら”っ!」 「は、はいっ!」 「これ以上バー使ったら、後ろを射出!射出確認後、MLで狙撃!」 美奈代の目は本気だ。 「―――殺せっ!」 「いいんですか!?」 “さくら”は美奈代の命令に、目を輝かせた。 「いいっ!」 ピクッ バーに手をかけたものの、躊躇しているのが、後頭部の感触でわかる。 「例え教官といえど、死人から殴られるいわれはないっ!」 「―――あーあ。お姉ちゃん、ブチギレ」 “さくら”は青くなったり赤くなったり忙しい教官に言った。 「パパが悪い」 「……何もしてない」 「しないから悪い」 「―――ったく」 美奈代はブチブチと言い続けた。 「初の実騎訓練だぞ?普通なら歩行だの基礎的なことやるべきだ。シミュレーションと現実のギャップを」 『泉っ!』 今度は早瀬からだ。 『何してるんだよ!早くどうするか決めてよ!』 「―――えっ?」 『命令読んでないのか!』 都築だ。 『俺達は、自力であの敵を撃破しなくちゃいけねぇんだ!お前が隊長だぞ!』 「なっ!?」 『美奈代さん』 美晴だ。 『しくじったら、48時間のメシ抜き。卒業までの外出止めですよ?』 「死ねというのか!」 『それはそれで言い過ぎだけど……』 「―――数はこっちの方が上だ!」 美奈代は言った。 「1対3で行く!1騎に対して3騎!それなら最悪5分まで!」 「1分にもならん」 後ろの教官が、ぽつりとそう言った。 「パーティを組め!」 美奈代はそれを無視した。 「弱いのはわかってる!」 そして、怒鳴った。 「弱者こそが強者を倒すことが出来る唯一の存在だ!格好悪くていいから、勝ってメシ喰ってフロ入って寝るぞっ!」 『風間と同衾を要求する』 「風間に聞けっ!神城達は三人で一組!私と都築、柏!宗像と山崎、早瀬で組め!風間、後方で待機!」 『えっ?』 祷子が驚いた顔をモニターに映した。 「危険なパーティの支援に回れ!―――いいかっ!」 美奈代は気合いを込めて怒鳴った。 「教官達は気にするな!ここで我々がダメになれば、候補生を無駄死にさせたとして、教官達の年金をパーに出来るっ!」 ギクッ! 後ろからそんな音がした。 それを無視した美奈代は続けた。 「降格に減俸、それが理由の家庭崩壊!」 ギクッ! 「全部無視しろっ!教官は無視だっ!どうせ我々の金じゃないっ!」 ギクッ! 「日頃の恨みを晴らせっ!隊長騎はどれかわかるか!?」 「マーカー、C騎です」 MCLの牧野少尉から声が入る。 「装備は共に第一種装備の「幻龍」です」 MDIJα-015「幻龍」 近衛騎士団のメサイアの代名詞。 雛鎧のベースとなった「征龍」の後継騎。旗騎「水龍」の流れも加わり、パワー・装甲。共に「征龍」より格段に上のはず。 性能では――― 「―――“さくら”」 美奈代はコントロールユニットを握りしめながら訊ねた。 「いけるか?」 無意識に自分の口から出た言葉に、美奈代は頷いた。 そうだ。 行くしかない! 美奈代はそう決意した。 勝てるはずはない。 それは明らかだ。 だが、 いつだって、 どんな時だって、 絶対勝てるなんて、誰にも言えないんだから。 勝てないんじゃない。 負けないんじゃない。 私は、違う!私達は、やることをやるんだ! 「はいっ!―――“マスター”!」 “さくら”は目を輝かせ、楽しげに言った。 「いざとなったら私をかついで逃げて下さい!」 「自重何百トンあると思ってる!」 「ううっ。ヒドいですぅ。女の子に体重の話するなんてぇ……」 「疑似人格じゃなくて、三次元上で、自分がどんな格好しているかいっぺん見なさいっ!」 「ううっ。こんな色白なのにぃ」 「色白って―――ペンキだろうが」 やりとりを聞いていた教官がポツリとそう言ったのを、“さくら”は聞き逃さなかった。 「ペンキだなんて、ひどいです!TP-45W特殊ペイントです!。HWワックスだってかかってますぅ。全身のお化粧代だけで、パパの○○ハダシ、ミジメすぎる薄給よりかかってるんですよ!?」 「ちくしょぉぉぉっ!」 その一言に、教官はキレた。 「それでオレは家族4人養ってんだ! 長女は今年大学受験! 次女は中学、長男は幼稚園だ! おれの悲哀を……家族のために身を粉にしているオヤジの悲哀を……!! ぬがぁぁぁっ!! リーマンナメんじゃねぇぞっ! このクソガキぃぃぃっ!」 「わーんっ!児童虐待で通報してやるぅ!」 「……」 いい所まで行っていたのに。 そう思った美奈代は、決意を再計算した。 「3騎同時に攻撃っ!それでいいなっ!?」 結局、やるしかない。 再計算はそう結論づけた。 『待て』 止めたのは都築だ。 『全騎、回線を隊内へクローズ』 「都築?」 『3騎同時なんて教官達はとうにお見通しだ』 「だから―――」 『だから』 どこか楽しげに都築は言った。 『予想もしないほど、卑劣に行くんだよ―――俺達は殺し合いをしてるんだ。オリンピックに行くわけじゃねぇ』 「卑劣?」 『ああ―――』 都築は作戦を話した。 『クックッ……成る程?』 聞き終えた宗像が喉を鳴らして笑った。 『それはいい』 『こら都築っ!』 都築の後ろで教官が怒鳴るが、 『スミマセン。死人は発言しないでください。規則ですから』 『都築っち!』 一葉は興奮気味だ。 『それならなんとかなるかも!』 『だろう?』 『で、ですけど』 山崎はどこか不安げだ。 『相手は歴戦。しかもメサイアは弾丸すら避ける』 『こっちも同じだ!』 都築は怒鳴った。 『歴戦かどうかより、歩き回れるかを心配するんだ!バランスはMCにサポートを頼め。MCが使えなければ自爆装置作動させてやればいい!』 『ロマンですね』 『風間、わかってるな』 『ふふっ……自爆はロマンです』 『で、誰がやるのよ?』 早瀬も興奮気味だ。 『決まってる』 美奈代は言った。 『ここから一気に敵前200メートルまで疾走。その中で最もバランスがいい者がやれ。各自、そこまででメサイアに慣れろ』 『たった2キロの疾走でメサイアに慣れろぉ?』 早瀬のため息混じりの声を否定する者はいない。 だが、状況が状況だ。 『やるしかないよねぇ』 「早瀬、そうだ」 『じゃ!』 双葉が言った。 『美奈代っちと都築っちのカップルの発案、早速実行っ!』 「よしっ!』 美奈代は騎を動かしかけて、そのコトに気づいた。 「まっ、待て!双葉っ!何だそのカップルってのは!」 『あーっ!美奈代っち顔真っ赤!』 「光葉!う、うるさいっ!」 『とにかく行くぞっ!』 都築は怒鳴った。 「敵、射撃開始!」 『メシ抜きは御免だぞ!』 「―――“さくら”っ!」 「バランスに注意して!―――全ウェポン、セフティ解除!各部コンバットモード引き上げ!マスターフレーム、オン!各部同調良好!―――行けるよっ!」 “さくら”の報告に力強く頷いた美奈代は雛鎧を前進させた。 10騎のメサイアが、大地を蹴った。
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《サイバー・ライトニング・ヴァルキリア》 効果モンスター 星4/光属性/戦士族/攻2600/守 0 このカードは「増援」「戦士の生還」の効果で手札に加えることができない。 このカードのコントローラーは、目をつぶってデュエルしなければならない。 目をあけた場合、またはカードを置く位置を間違えた場合、このカードを破壊する。 このカードは「スキルドレイン」の効果を受けない。 part15-427 名前 コメント
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作詞:リョータイ 作曲:tomn(イカロスP) 唄:メグッポイド http //www.nicovideo.jp/watch/sm7452995 歌詞 終末への 火蓋は もはや切られた 風 剣 狼のフィンブルヴェト 群青の眼光に 見果てぬ荒野 天馬の蹄が 戦場に響く 命 消えて 星は 落ちて 通り過ぎた道は 血で染まる 生きて 死んで また出会う 昨日の 戦友(とも)が 明日 血肉と化さぬようにと 戦人 向かえよ 剣を握れ そう 選択肢は 生きるか 死ぬかの 誇り高く 気高く 羽ばたく もう 後ろは振り向かない 蒼く たなびく髪 白銀の槍 たそがれ 何を思う ヴァルキュリア 彼女の 鎧が煌めく度に 幾多の 者が 悲しみにくれる 翼 広げ はためいて 通り過ぎた日々は 崩れゆく 忘れないで 勇気ある 名も無き 勇者たちを見送った 後ろ姿を 燃え上がれ 凍てつけ その身に刻め そう 選択肢は 捕虜(いきる)か足掻く(しぬ)かの 黒く 色づく 背中の羽根に もう 賽は投げられたの 心 抱いて 思い出す 遠い日に 愛した者の 名を 枯れた 涙 湧き上がる 死人が眠る 石の羅列 薄汚れた 刻印 戦人 向かえよ 剣を握れ そう 選択肢は 苦しむ(いきる)か 楽になる(しぬ)かの 誇り高く 気高く 羽ばたく 戦乙女のレーゼ コメント 名前 コメント trackback
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今日 - 合計 - 爆球連発!!スーパービーダマン 激誕!ライジングヴァルキリー!!の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時28分58秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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聖剣炎獣クリムゾン・ヴァルキリオン SR 火文明 10 進化クリーチャー:アーマード・ワイバーン 15000 ■進化-自分のワイバーン1体の上に置く。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、パワー15000以下の「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて破壊する。その後、進化ではないワイバーンを1体、自分の手札、またはマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。 ■T・ブレイカー 作者:ぷんぷん丸 フレーバーテキスト その咆哮は、激励の歓声か、苦痛の轟音か。 評価 名前 コメント
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通常放送 話数 1 2 3 4 5 1 59.8 15.6 9.9 5.5 9.1 2 74.6 13.6 6.6 2.6 2.5 3 81.1 11.0 5.0 1.1 1.7 4 80.0 11.0 5.2 1.1 2.6 5 86.5 7.0 3.7 0.7 2.1 6 84.8 8.6 4.2 0.5 1.9 7 88.9 6.9 2.3 0.5 1.4 8 84.9 9.0 3.7 0.5 1.9 9 84.9 9.2 3.6 0.7 1.6 10 85.1 9.9 2.6 1.0 1.4 11 88.6 6.7 2.9 0.4 1.4 12 82.7 9.5 3.9 1.5 2.4 平均 81.83 9.83 4.47 1.34 2.50 一挙放送 放送日 話数 1 2 3 4 5 2016/04/11 全12 87.2 9.1 1.7 0.6 1.4
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Last Update 2012/08/16 21 55 44 《バルキリー燕》 属性 赤 移動色 ●●●● 攻撃 13 能力 [戦闘時]発動モンスターカードを[戦闘支援]カードに使用できるあなたと対戦相手の[戦闘支援]カードが同属性の場合、両者の[戦闘支援]カードを無効化し、攻撃値が3倍になる(秘技 燕返し) レア VR 種族 精霊 耐久 17 使用した戦闘支援カードが両者とも同属性であれば両方とも無効化し、代わりに自身の攻撃値を3倍にするというユニークな能力(以下燕返しと表記)を持つ。 これは戦闘支援魔法であっても例外ではないため、状況次第では勝ち確定を作り出せる。 ただし基本攻撃値は13とかなり低いので育成や戦闘支援による補助はほとんど必須と言える。 育成なしだと燕返しが発動した場合の攻撃値は39なので、支援なしでも耐久値が40以上になるモンスターに対しては分が悪い。 また、相手からすると下手に支援を使って燕返しを発動されると被害が大きくなるため支援を使用しない傾向にある。 そのため、燕返しを発動できなければ勝てないような戦闘は仕掛けない方が無難だろう。 相性のいい支援としては《アンデッドソード》があり、相手が戦闘支援魔法ならば燕返し、支援モンスターでも耐久値上昇や避けには勝てる。 ただし、スタック速度の関係で《かすめ取り》と《封じ込め》に対しては燕返しを発動できないので注意が必要。 《背水の陣》ならば両方に対応できるため一緒に採用するのも良いだろう。 侵略においては非常に強力だが防衛時には逆に燕返しを狙われるため戦闘支援を活用できないことが多い。 それでも基本耐久値が17と高めで、燕返しが発動すれば相手の支援を無効化できるためオーバーキルはされにくい。 また、《封じ込め》を使用すると対戦モンスターの戦闘時発動能力無効化と燕返しを両立することができる。 その場合、《封じ込め》の耐久値+3は発動しないため未育成だと撃破されることも少なくないが、逆に育成してあれば非常に強固になる。 短所もあるが長所の方が大きく、移動値も4あることから気軽に採用できる優良カードだ。 ちなみに《カードブレイク》が赤属性以外を対象とした能力なのはこのカードのせい。 相手が赤属性モンスターでどちらかが《縛りの呪い》を使用した場合の能力無効化や燕返しの関係は《封じ込め》と同じ。 ▲ 移動4で防御17とスタッブスポークの餌としても最上級。バルキリーレーナ形無しである。 - 名無しさん 2010-10-25 16 15 46 名前 コメント